ボストンマラソンへの長い道
- zenpukujigawa
- 5月3日
- 読了時間: 6分
更新日:5月7日

2025年4月21日(月・祝)、第129回ボストンマラソンに参加して来ました。
次回戸惑わないよう、参加プロセスをまとめました。
長くなりますが、今後海外マラソンを予定されている方の参考になれば幸いです。
準備編(日本出発まで)
1.基準タイムを達成してエントリーする
大会参加への第一歩は、直近1年以内の陸連公認大会で、年代別の基準タイムを達成することから始まります。
この基準タイムは、5歳毎に設定されるので、年齢枠の変わり目となる時がチャンスです。
2.参加通知を待つ
基準タイムをクリアした応募者の中から、タイムが早い順に参加資格が与えられます。
過去2回は定員オーバーでしたが、今年は基準タイムより10分以上早い記録を持っていたので、参加できたようです。
3.航空券を予約する
香港や韓国を経由するアジア系航空会社は割安な航空券もありますが、米国系航空会社はそれなりの運賃。
身体への負担を考慮し、奮発して唯一直行便を運行するJALを選びました。
4.ホテルを予約する
WEB検索したところ、市内のホテルは1泊900ドル超!
やむなく空港付近のエンバシースイートを予約しました。
ここはヒルトングループの中価格帯のフルサービスホテルで、全室スイートルーム、屋内プールとフィットネスセンターを完備し、無料の朝食ビュッフェが美味しくてお勧めです。
日本女性ランナーの6人グループも宿泊していました。
5.ESTAを申請する
入国ビザに相当するESTAはWEBで申請します。
英語を間違えないよう慎重に入力すると、数日中に承認結果が届きます。
6.ボストンへ出発
夜7時発、12時間のフライトでボストンへ向かいます。
まあまあ美味しい機内食を食べて、映画を2本見て、まだアラスカ上空です。
満席の機内で、なかなか寝付けない苦痛にひたすら耐えます。
準備編(米国到着~スタートまで)
ボストン到着
体内時計は朝7時ですが、現地時刻は午後6時。
ボーとしたまま、空港のターミナルビルを出ると、ホテルのシャトルバス乗り場などどこにもありません。
向かってくるホテルのミニバスに目を凝らして、エンバシーのロゴを見つけたら、手を挙げて捕まえます。
ホテルにチェックイン
普段なら周辺探検に繰り出すところですが、すでに夜7時、空港エリアなので治安も心配。
おとなしく、早めに就寝しますが、眠気に反して2時間以上続けて眠れず。
【前日】下見
まず当日の荷物預け&バス乗り場へ行き、ホテルからの所要時間を確認します。
駅まで徒歩8分+地下鉄は1回乗換えて20分=計30分あれば足ります。
ここ(ボストンコモン)は広々とした公園で、満開の桜が見頃を迎えています。
EXPO会場までの大通りは、歩行者天国になっており、ランナーが思い思いに試走しています。
強く冷たい海風を受けながら、一緒に散策を楽しみます。
10. EXPO
受付はディズニーランドのように会場内をグルグルと歩かされた割に、手続きはほんの数分。
パスポートを見せて、参加賞と計測チップ付のナンバーカードと荷物預かり袋を受け取ります。
中身はその場で確認した方が良いでしょう。ホテルへ戻った後に、入っているはずのスタート地点持込袋が入っていないことに気付きました。どうしよう?
EXPOはスポンサー企業のみの出展で、東京マラソンのそれと比べるとかなり寂しい印象でした。早々に切り上げ、お目当てのボストン美術館へ向かいました。
11.【当日】荷物預け
6時朝食、7時前ホテル出発、かなりの冷込み(5℃位)。下見通りのルートで7:30到着。
脱いだ上着を荷物預かり袋に入れて、停車しているスクールバスに預け、バス乗り場へ向かいます。
途中、事務局のテント(?)で、スタート地点持込袋を2枚入手し、ひと安心。
12. 送迎バス乗車
集合時間の8:15にバスが出発すると思い、30分前に到着しましたが、実はバスに乗り込む時間で、結局出発したのは8:45でした。
スクールバスの中は異常なハイテンションの大人達で大賑わい、途中渋滞もあり、1時間ちょっとかけてスタートエリア(ホプキントン)へ到着しました。
13.スタート直前
ホプキントン到着後は、トイレを済ませて、すぐにスタートラインに整列します。と思ったら、本物のスタートラインは0.7マイル先でした。いったいどれだけ歩かせるの!
10:50のスタートを待つ間、持ってきたお菓子を食べながら、強くなっていく日差しに、アームカバーとロングタイツを着用したことを後悔しました。この後悔が1時間後に180度変化するとは…
スタート~ゴール編
14.コース
西から東へ42.195kmのほぼ一本道!道幅は広く、スタート渋滞はありません。
いくつかのゆるい登り坂と32km過ぎの「心臓破りの丘」を除くと下り基調で、カーブもほとんどありません。
15.接触と転倒
こんなに走りやすいコースですが、残念なことに無理な追い越しで他のランナーを押したり接触したりする不届き者が少なからずいます。
10km過ぎで押されて転倒し、両膝と右肘を強打してしまいました。
アームカバーとロングタイツのおかげで、大量出血を免れました。
擦り切れたウェアに感謝しつつヨロヨロ走り出すと、あちこちから「Keep going(進み続けろ)」の声援、気分はもうロッキーです。
16.給水・給食
給水は約3kmおきに水とゲータレードが左右両側に用意されています。近くにゴミ箱はありますが、ランナー達は紙コップをコース上に捨てていくので、走路は濡れて滑りやすく、潰れたコップにも注意が必要です(また同じところをぶつけたら、痛すぎる!)。
給食はハーフ以降の3箇所にMaurtenのゼリー(カフェイン有と無)がありました。
17.応援
これぞボストンマラソンの醍醐味と言えます。最初から最後まで大歓声に包まれます。
特にハーフ付近のWellesley College通過時には女子大生の黄色い絶叫のトンネルをくぐることになります。
「Kiss me」のバナーに応えて、キスを投げることなんて、もう2度とないでしょう。
18.ゴールへの道
寝不足のせいか、30km以降の記憶はかなり曖昧です。
ゆるく長い坂にペースダウンされつつ登っていくと、頭上の大きな横断幕が「心臓破りの丘」の頂上を知らせてくれます。
もうこれで難所はないと胸を撫で下ろします。
ボストンに近づくにつれて、向かい風が強くなり涼しくなってきますが、なかなかゴールは見えてきません。それもそのはず、最後にカーブがあったのです。
角を曲がってBoylston Streetに出たら、ゴールは目の前、みんなでラストスパートです!
転倒が響いてタイムは残念な4:02。来年のボストンマラソンには参加できそうにありません。
19.ゴール後
完走メダルをかけてもらって、防寒シートを巻いて、お菓子セットとドリンクを受け取り、朝荷物を預けたバスへ向かい、荷物を受け取ります。最後までとことん歩かせます。
ボストンコモンでくつろぐランナーも多いようですが、3時頃はすでに寒い。
もちろん更衣室などありませんが、帰りの地下鉄は無料です。
すれ違う人々やランナー同士も「Congratulations!(おめでとう)」と声を掛けてくれるので、完走の喜びと達成感がじわじわと沸いてきます。
スタートまでは、129年の伝統ある大会なのにこの運営かと不平・不満満載でしたが、そこは文化の違いと受け入れましょう。
終わってしまえば、満足感と感謝でいっぱいの忘れられない経験となっているから、不思議です。
だからこそ、時間と労力とお金をかけても国内外の大会参加はやめられません。

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