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多摩川「独占」ウルトラマラソン

  • 佐原 匡
  • 4月17日
  • 読了時間: 4分

昨年の灼熱地獄(シーズン初の夏日)、今年の雨と私のウルトラマラソンは連続して天から見放されました。参加したのは、第10回多摩川ネイチャーマラソン(東京ウルトラ100キロ)です。


準備は万端でした。ウルトラマラソン十回以上完走の猛者から、「千日回峰行」と称して三か月で1000キロ走ることを勧められました。そこまでは無理でしたが、直前の106日で何とか1000キロ に達することが出来ました。加えて、長距離走としては2月に30キロ(青梅マラソン)、3月に42.195キロ(東京マラソン)と少しずつ走行距離も伸ばしていきました。


そして当日、万全の体調で中央線の始発に乗り込みました。コースは多摩川の河口から50kmまでの往復100km。もっとも、スタート地点は河口から10kmの東横線・多摩川駅です。まず40km上流に走り、そこで折り返し、河口まで50km下り、最後は10km上流に戻ってゴール。つまり、スタート地点とゴール地点は同じ場所ですが、80kmで一度その地点に戻ってくるのです。


 既に明るくなっている6:00にスタート。40kmまではキロ6分半のペースと予定通りでした。二子玉川の高層ビル、川崎フロンターレのとどろきスタジアムなどを横目に、土手の上には見納めの桜並木、川辺には満開の菜の花と、楽しい景色が続きます。その時間帯はまだ雨は降っていなかったのですが、昨年と異なり花見客は皆無。それどころかランナーや自転車ライダーもほとんど見かけず、多摩川は100kmランナーの「独占」状態だったのです。走りながら思ったのですが、ウルトラマラソンではランナーズハイが遅くなるようです。距離が倍以上ということで、走る速度はマラソンに比べてキロ当たり1分以上、遅くなります。従って、30km過ぎはまだ序盤ということで体への負担はまだそれほどないのですが、精神的には一番つらかったのです。こうして40kmの折り返し地点まで進み、ようやくランナーズハイ状態になり、高揚感にひたり始めたのですが、残念なことにこの辺りからちらほら雨が降り出してきたのです。


 雨は50kmを過ぎたあたりから本格的になってきました。百円均一ショップのレインコートでは十分とは言えません。気温は15度近くあったので、それほど寒くはなかったのですが、雨が止む気配は全くなし。7時間弱で60kmまで来たのですが、ここが潮時と思い、レースを止めることにしました。残りは40kmで、制限時間までに6時間あったので、雨さえなければ完走できたように思いますが、何のために走っているのかを考えれば、悪い決断ではなかったはずです。後から言われました。「シニアには無理は禁物」「勇気ある撤退」。ちなみに今回の完走率は45%(昨年は46%)でした。


 実は60kmでの棄権は私にとってプランBでした。もちろん目標は完走ですが、それが出来ない場合、まずプランAです。今回のプランAは80kmまででした。前述の通り、80kmでスタート地点に戻るので、そこで棄権しても、80kmのウルトラマラソンを完走したことにする特別ルールがあるのです。ただ、今回のように、80kmまでたどり着かなかったらどうするか。そこで予め考えていたのがプランBでした。プランAが80kmに対し、プランBは60kmです。60kmのチェックポイントからは徒歩数分の所に西武多摩川線・是政駅があり、武蔵境経由で我が家のある阿佐ヶ谷まで最短なのです。加えて、是政駅は乗降客も少なく、またトイレ施設も完備しており、着替えにも最適です。予定通りだったのですが、雨ということで想定外も生じました。プランAなら荷物を預けられるのに対し、プランBの場合、すべて携帯する必要があります。たどり着かなかったランナーの為に、預け物は自宅まで後送してくれるのですが、雨の場合、濡れたままでは電車に乗れません。結局、晴天ならウインドブレーカを一着ですむところが、着替え一式を携帯したのですが、この重さにも苦しむことになりました。まさに苦行です。


 こうして駅で着替えて二時過ぎには帰宅することが出来ました。完走を目指していたら夜八時を過ぎていたことでしょう。楽しみはまた来年です。


 ところで二年連続の天候の不運。どうしたら良いのでしょうか。ハリーポッターには天気を変えられる呪文があるそうですが、いやしいマグル(同書で「人間」のこと)にはそのようなことは出来ません。結局、うまく立ち回るしか方法はありません。気が付いたのですが、本大会の開催日は4月13日なのですが、レイトエントリーなら受付期限は4月9日なのです。四日前なら天気予報の精度も高いはず。これが東京マラソンのような大きな大会ではない「草レース」の良さです。来年からは、最終段階まで待つことにしましょう。


 最後に余談です。今回のレースのトップは8時間18分33秒、つまりキロ当たり平均5分を切る速さでした。ちなみに世界記録ですが、Wikipediaによるとリトアニアのソロキン選手の6時間5分35秒とのこと。彼は100マイル(160km)の世界記録も持っていますが、それは競技場内で達成しました。つまり、400mトラックを400周したのです。済美山トラックでは大晦日に108周走る催し物があるそうですが、その4倍近くです。どのような精神状態になるのでしょうか。まさに涅槃の極致かもしれません。

 
 
 

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