「走る人はボケにくい?」 中西 俊秀
- 中西 俊秀
- 2021年1月14日
- 読了時間: 3分
更新日:2021年1月23日
2016.10月の大阪マラソンに初めて70歳で出場するとき、大阪在住の1年後輩の友人(医学部の名誉教授)に、「マラソンに出場するので応援よろしく」とメールすると、「マラソンは健康によくないよ!」と警告されたので、「健康のために走るのではなく、楽しみのために走っているんだ!」と答えました。レース当日、彼はコースの御堂筋でアメリカ人の奥さんと目印となる星条旗と日の丸を派手に振りながら往復2回とも応援してくれました。その後、彼は何故か時々ランニングをしているそうです。
健康のためにランニングをしている人は多いと思いますが、健康のためにフルマラソンのレースに出場する人は余りいないのではないでしょうか。私にとっては、ランニングをするために健康に留意していると言った方が正確な気がしています。レース日程と目標が決まると、自分の現在地(走力、持久力等々)から考えて、目標を実現させるための練習計画をたて、徐々に目標実現に向けて練習するのを楽しんでいます。目標達成の楽しみがあれば多少苦しい練習も耐えることができ、楽しみに変えることができるようです。
現在地(現状)と目的地(目標)の把握状況を切り口にすると4つのパターン分類できます。
1)【現在地も目的地もしっかり把握できている】
これは旅行や仕事、事業では当たり前ですね。ランニングにおいては、ダイエット目的でも、前述のようにレース参加目的でもこのパターンかと思います。
2)【現在地は把握しているが、目的地ははっきりしていない】
これは散歩や散策が当てはまりますね。ランニングで言えばジョギングで気分の趣くまま走る場合や、仲間とのおしゃべりランの場合でしょうか。地域やルートを選べば気分も心も解放されます。
3)【目的地ははっきりしているが、現在地が把握出来ていない】
登山などでこの状態が発生すると遭難です。街中でのランニング中でも初めての土地で迷子になることもありますね。文字通り「現在地」の把握は重要です。更に、自分の健康状況、体調、体力を無視して高い目標を目指すこともこのパターンと言えます。しばしば怪我や故障を引き起こします。
4)【目的地も、現在地もはっきりしていない】
これは徘徊です。高齢化社会では認知症は切実な問題です。私の妻は、「健脚の徘徊老人」に私がなるのを心配しています。探すのも追いかけるのも大変ですから。
上記1)、2)の範囲内でランニングを楽しみましょう。自分の「現在地」が把握できていればまずは安心です。認知症に関しては期待したい学説もあります。ランニングに限らず、運動は認知症の予防や改善に大きな役割を果たしていることが知られています。これは運動によって増大した筋肉から脳由来神経栄養因子(BDNF)がより多く出て、脳の神経に働きかけ、学習や記憶機能を高め、壊れた神経細胞の修復や増殖を促す働きがあるからだそうです。
ランニングを楽しむ人はボケにくい!? 信じて走るしかありません!
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